下呂温泉には年間約100万人の観光宿泊者が訪れ、地域経済に大きく貢献しています。一方で、隣接する竹原・萩原・小坂・馬瀬・金山などの農村地域では、特産米「銀の朏」に加え「龍の瞳」や えごま、大根・トマトなど地域色のある農産物が生産されているが、観光との接点が乏しい状況です。
下呂市農泊DX推進協議会は、地域資源と人材をつなぎ、新たな観光サービスや特産品・飲食メニューを開発。DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用し、観光客の利便性向上や農泊事業者の生産性向上・運営強化を目指します。
1.農泊デジタル人材育成講座の開催
本業務は、下呂市竹原地域における農泊事業者等を対象に、デジタルツールを駆使し、地域と観光客を結び付けるビジネスマインドを持ったプロデューサーを育てることを目的に実施しました。
(1)農泊デジタル人材育成にかかるカリキュラムの作成
農泊デジタル人材に求められる要件としては二つの理解が必要で、一つ目は、農村景観、体験、歴史・文化、地域独自の食や加工品などのすばらしさを理解し納得できること。二つ目は、そのコンテンツを見せ方、伝え方になります。これまで使われてきたパンフレットや動画、Webサイトなどに加え、オンライン予約システムの導入とデジタル決済、デジタルマーケティング、スマート農業、バーチャル体験などが考えられますが、DXの取り組みにより農泊の魅力を高め、より多くの人々に農村地域での豊かな体験を提供することが可能となります。
(2)カリキュラムに沿った講座の開催
農泊デジタルDXは、DXの手法だけでなく、人材が農村をどのように理解しているかがカギとなります。持続可能な農村の推進を目指すため、農村地域人材の育成とDX技術の手法が合わさって、農村の魅力が発信されると考え、カリキュラムに沿って農泊デジタル人材育成講座を行いました。

2.農泊体験開発ワークショップ講座の開催
下呂市竹原地域における農泊事業者を対象に、新たな農泊体験を開発するためのワークショップを実施し、講師による農泊推進に係る指導や助言を通して、協議会が進める農泊事業の各種体験プログラムの充実を図ることを目的に実施しました。
(1)農泊体験開発ワークショップ講座の開催
デジタル人材育成講座同様、農泊体験開発ワークショップとデジタル人材育成は、対象者が参加しやすいように同日開催とし、下呂市農泊推進塾と名付けました。
(2)2泊3日の旅程を前提としたパッケージ商品の提案
ワークショップでの議論ならびにテストマーケティングの結果をもとに、竹原農村めぐりと体験、食の提供に下呂温泉宿泊を農泊体験プログラムとしてパッケージ化した提案を行いました。
(3)商品化にまで至らないコンテンツのテストマーケティングに関する提案
農泊体験プログラムを最終化し提案するために、農泊体験プログラムを実際に体験していただくテストマーケティングを実施しました。テストマーケティングへの参加者からの意見や感想を参考に、農泊体験プログラムの最終化に向けて検討を行いました。

3.下呂市農泊地域リソース調査事業
下呂市農泊DX推進協議会が事業計画を策定するにあたり、農泊事業者に対してヒアリングを行うことで農泊地域としてのリソースを調査し、意見交換会により現状把握や情報収集をすることを目的として実施。また、協議会が策定する農泊事業計画策定の支援となる情報収集を行いました。
(1)地域資源を独自の視点で調査
地域住民の聞き取り調査も以下のように必要であるが、地域に住んでいるからこそ、当たり前のものとして見えないこともある。したがって、研究所の独自の視点で掘り起こすことも重要である。なぜこの資源が大切なのか、の理由も明確にする。
(2)アンケート及びヒアリングの実施
竹原地域の農業者、観光事業者等へのアンケート調査、ヒアリングなどを実施し、現状把握や意見の取りまとめを行いました。
(3)意見交換会の実施
竹原地域の農業者、観光事業者等が現状の課題や今後の展望などを議論する意見交換会を実施しました。
(4)情報の整理、計画策定のサポート
(1)、(2)、(3)の意見等を取りまとめ、下呂温泉と竹原地域における農泊DX推進の方向性を定めた農泊DX事業計画の策定サポートを行いました。

農泊DXツーリズムのサイトは以下から▼