1.事業の目的
世界的に「持続可能な観光(サステナブルツーリズム)」への関心が高まる中、我が国が世界の旅行者から選ばれる観光地となるよう、地域におけるマネジメント体制の構築、コンテンツの造成・工夫、受入環境の整備を図り、オーバーツーリズムやカーボンニュートラルにも対応した持続可能な観光の推進を図る必要があります。

一方で、地域においては、「住んでよし、訪れてよし」の観点からの持続可能な観光地域づくりの実現が望まれています。その実現のためには、地方公共団体や観光地域づくり法人(DMO)が中心となって、観光客と地域住民の双方に配慮し、多面的かつ客観的なデータ計測と中長期的な計画に基づく総合的な観光地マネジメントを行うことが重要です。
観光庁においては、令和2年にUNWTO駐日事務所とともに「日本版持続可能な観光ガイドライン」(JSTS-D)を開発・公表するとともに、持続可能な観光の普及・啓発を図っています。
本業務では、地域におけるマネジメント体制の構築を図るため、①持続可能な観光地経営のモデル形成、②持続可能な観光を実践する地域人材の育成・創出、③持続可能な観光サービスを提供する地域の事業者群における取組の促進を図ることにより、我が国における持続可能な観光の推進を図ることを目的に実施しました。
2.業務内容
①持続可能な観光地経営のモデル形成
市区町村・観光地域づくり法人(DMO)が中心となって持続可能な観光地経営の体制を構築しようとする22のモデル地区を対象として、持続可能な観光を実現するためのプログラム(地域自らが目指すべき姿と課題を明確化した上で、計画を策定するところから、具体的な施策の検討・実施・分析・改善に至るまでの一連のサイクルを踏まえたもの)の開発と実運用を図るとともに、調査・分析・効果検証を行いました。

・自己分析ツールSTARsによるJSTS-D分析
・課題整理と指標決定
・GSTC公式トレーニングの実施
・専門家による調査とアドバイス
・実証事業の実施 他
②持続可能な観光を実践する地域人材の育成・創出
持続可能な観光地経営の体制を構築しようとする市区町村・DMOにおいて、各組織内の観光にかかわる各事業を把握し、その地域の持続性向上に向けて組織内で旗振り・調整役を担う人材(サステナビリティ・コーディネーター)を育成・創出するためのプログラムを国立大学法人和歌山大学観光学部と共同で開発・実運用を図るとともに効果についても検証しました。
・GSTC公式トレーニングや専門家による研修の実施
・参加者同士のディスカッション
・所属長に対してのプレゼンテーション 他

③持続可能な観光サービスを提供する地域の事業者における取組の促進
地域の機運の醸成と取組の促進を図るため、持続可能な観光に取り組む事業者の見える化、持続可能な観光に取り組もうとする7地域の事業者群によるプラットフォーム形成の支援を行いました。
・オンラインによる基礎研修
・背景・課題、目的、目標などの整理
・専門家によるアドバイス
・次年度以降の目標の設定 他